レインリリー

プライベートを身ぐるみ剥がされ
ペラペラの中身の薄い人間になった気分で仕事に戻ると
最近は私の顔を見ただけで調子が分かるようになったという、大久保さんが

「安達に、やられた?」

気の毒そうな顔で聞いてきた。

「ハイ。刑事顔負けの尋問でした」

「でも、ブランドで頭パンクしそうだったからリフレッシュできたんじゃない?」

言われみれば・・・そうかも?

「ゆかりさん、そこまで考えてたんでしょうか?」

「だてに『デビルゆかり』やってないんじゃない(笑)」

長い指で素早くレジ金チェックをしながら、目尻にシワを寄せて微笑む大久保さん。

このバイトを始めて何度もこの微笑みに勇気ずけられた。
今では私のビタミン剤みたいな笑顔だ。

「私だけ子供みたいで悔しいです」