レインリリー

急いで隣のお姉の部屋に移動する。

県外で就職してバリバリ働くお姉の部屋は
今は帰郷の時にしか使われておらず、人気のない澱んだ空気が漂っていた。


「もしもし。こんばんわ」


戸をソッと閉めながら電話に出た。


「香奈ちゃん?メールありがと」


「起きてましたか?」


「ああ。うちの会社、朝遅めだからいつも、だいたい1時頃まで起きてる。
香奈ちゃんの方が眠そうな声だよ?」


「えっ。そんな事ないです。
といって、いつも12時前には寝ちゃってますけど」


「やっぱり(笑)なんか寝るの好きそうだもんね」


「そんな事ない、とも言い切れませんが…美容のためです!!」


「あ~肌がキレイなのは、そのせいか」


綺麗!今、綺麗って言ってくれた!!


さり気ない褒め言葉にくすぐられ
単純な私の心はすぐに浮き足立つ。