レインリリー

「ほら、またそんな怯えた顔して」


吉川さんが笑いながら私の顔を覗き込みフニィーと頬をつまんだ。


「!!」


数時間前に出会ったばかりの男性に
いきなり顔を触れられるなんて
始めての事で・・・目を白黒させる私を見て

吉川さんは、さらに爆笑しながら


「隙だらけ」


そう言いやっと頬を解放してくれた。

自由になった頬に
少し物足りなさを感じる。

これって・・・
もしかして・・・

いわゆるイチャついてる状態?

分かんないけど今ので確実に2人の距離は
近づいたように思えて、さらにドキドキが増す胸。

出会ったばかりの人に
こんなに心をトキメかせるなんて
まさか、これは、夢?

落ち着かない気持ちでグラスを傾ける吉川さんの横顔をソッと盗み見しながら
汗をかいている2杯目のカクテルを自分の頬にあててみる。


《うわっ!冷たっ!!》


キーンとした感覚が背筋を走りこれが現実だと確認して

また身体が熱を帯びた。