レインリリー

聞き慣れない声の元へ視線を向けると

シュッとタイトなスーツを着こなした男の人が、コアラ男の腕を嫌悪感丸出しの顔で掴んでいた。

ようやく目を開けたコアラ男の

「あぁ吉川、今来たのか遅かったな…」

その言葉で、この救世主が遅れていた吉川さんだって私にも分かった。

「みんな盛り上がってるぞ。
ほら、俺らも席に行こう」

なんとか体裁を繕った感じのコアラ男がテーブルへと足早に歩きながら

「チッ!!」

小さく舌打ちしたのを私は聞き逃さなかった。。。



《コンパで彼氏見つけようと思わない方がいいからね。期待し過ぎるとロクな事無いし。暇つぶしとか、友達作ろうぐらいの、つもりで行っておいで》

ゆかりさんの言葉が頭をよぎる。

本当。その通り。
飲み会だと思えばいいんだよね。
うん。

でも・・・
出会って1時間足らずでキスを迫るような男とは友達にすら、
なりたくないデス。。。