レインリリー

「うまっ」


TVを見たままの崇人が2個目に手を伸ばす。


《はっ?ありえなくない?!》


「ね♪これ、美味しいわね。香奈ちゃんも食べるでしょ?」


嫌がらせなのか・・・
無神経なのか・・・

崇人母の笑顔からは何も読み取れない。
ただ。美味しそうにチョコを食べているだけ。


「今、いいです・・・お腹がいっぱいで・・・」


差し出された箱から漂う
チョコの甘い香りに胸がムカツキ
顔をそむけるように微妙に視線を外した私は



視界の端にメッセージカードを捉えた。