レインリリー

「えっっ!!!!」



瞬きすら忘れ固まってしまった
崇人を見て


また不安の波が押し寄せてきて
息ができなくなる。


――ダメ。
赤ちゃんの為に、ちゃんと息をしないと


妊娠や赤ちゃんの知識なんて
何も無いけど

とっさに

――守らなきゃ!!

そう思った。


――私、この子を産みたい。
――ママになりたい。

この数時間グダグダと悩んでいたのが
嘘のように
今、ハッキリとした自分の本心に・・・気が付いた。


でも、崇人は・・・どうなの?
もし、もしも、まだ早いから・・・
なんて言われたら

私1人で、やっていける?



左手から伝わってくる
崇人の体温の暖かさだけが
心細さを和らげてくれる唯一のもので


その温もりに身体ごと包みこまれたい
衝動に駆られ
突然、抱きついた私を


崇人はギュッって抱きしめてくれた。



「香奈、震えてる・・・」