あんな必死に応援してるのに楽しいなんてバカみたい。
競い合ってるのに楽しいなんてバカみたい。
あんな汗掻いて楽しいなんてバカみたい。
でも・・・・・・
「仕方ないから本気、出してあげる」
立ち上がると、腰に巻いてあった体操服を先生に向かって投げた。
でも、そうやって楽しそうに話す先生が一番バカかもね。
「絶対だぞ~!」
一瞬驚いた顔を見せた先生が、グランドに出て行く私に向かって叫んだ。
私が違う所から出たせいか、周りがざわついた。
「増井さんはアンカーね」
渡された『3』と書かれた黄色のゼッケン。
コレを着ろってことか・・・・・・・
「増井さんはアンカーなのであっちです」
今居る方とは逆の方を指され、私はそっちに向かって歩いた。


