「お、増井」
体育も終わり、廊下で伊達先生と擦れ違った。
「今日は真面目に体育に出たんだってな」
そこまで情報が回ってたか。
「しかも全勝したらしいな、体育部相手に」
「相手が下手だっただけ」
私がそう言うと、意味あり気に笑った。
「何よ、その笑みは」
「別に~」
ムカつく奴だな。
「それより今日もやるか?勝負」
「またやるの?」
「今日は体操服持ってるみたいだし何でも出来るだろ?」
「今日は用事があるからパス」
今日は金を稼ぎに行かないとお小遣いが底をついた。
「用事って?」
「先生には関係ないでしょ」
べーと舌を出して足を進めた。


