「キャハハハ」
「こっちこっち!」
あの後、教室から鞄だけを持って学校を出た。
通学路にある公園から子供達の笑う声が聞こえてくる。
桜もほとんど散って緑に変わろうとして来ている。
季節は色々な色に変わって行くのに、私の心は灰色一色しか知らない。
子供の頃、あの子たちみたいに私は笑ってはいなかった。
友達と遊んではいなかった。
あの子たちの未来はきっと明るいのだろう。
親が子供を守って
親が子供の道を導き出す
きっとそれが普通の事なんだろう。
じゃあ私は?
私は守ってくれる人も導きだしてくれる人も居ない。
私は孤独______
と考えるのはもう止めた。
昔から考えててもう疲れた。
考えるだけ無駄だと思い知らされた。
「ちょっとあなた」
声を掛けられ、振り向くと女の人が立っていた。


