「私、思うの。現実逃避するならこれからのことでも考えれば?って」
現実逃避なんてなんの役にも立たない。
「それでも、人間には休憩する時が必要なんだ。それがきっと『現実逃避』なのかもしれない」
休憩・・・・・・・
私にはそんなもの必要ない。
「でも、そっか・・・・・・」
何よ。
何でそんな目で見るのよ。
そんな哀れむ様な目で私を見ないでよ。
そんな目をするぐらいならいっそ同情でもしてよ。
それなら私、慣れてるから。
「お前は今まで休んでこなかったのか」
私の目にかかっている前髪を器用に掻き分け、そのまま手が下に下がって来た。
「偶には休んでもいいんだぞ?」
器用に人差指の甲で目元をなぞり、先生の掌が顔にフィットした。


