真っ黒なベンツ。 「はぁ~・・・・・・」 車を見てつい溜息をついてしまう。 「なんだよ、その溜息は」 「別に。ただベンツの隣に普通車って、と思っただけ」 ベンツの隣に止めてある赤いプリウスα。 「悪かったな、ベンツじゃなくて!」 そう。 伊達先生の車はベンツ、じゃなくてプリウスの方。 「いいんじゃない?赤と黒って」 「は?なんのことだ?」 「別に、こっちのこと」 赤い車に黒い瞳。 意外と似合ってると思うよ。 「早く乗れよ」 「はいはい」 先生が先に乗ると、私も乗り込んだ。