「ちょっと待て」 声のした方を振り向くと、追いかけてきた伊達先生の姿があった。 「送ってく」 チャリンと鍵の束を見せられた。 「・・・・・・」 「なんだよ」 「車持ってたんだと思って」 「そんなこと言ってると送ってかないぞ」 子供みたいにいじけてしまった。 「ごめんごめん。お願い、樹」 笑ってポケットに突っこんでいる左腕に絡みついた。 「呼び捨てすな」 「は~い」 素直に腕から離れた。