再び校舎に方向転換をする。



「・・・・・・・・・・」



あぁ、もう!



とことんお人好しだな、と呆れる。




ギュ_____



寂しそうな背中をそっと抱きしめた。



あんなに態度がデカい生徒でも、こうしやって抱きしめてしまえば華奢な女の子だ。



「ったく、めんどくさい。生徒一人泣かせられるか」


「誰かに見られるよ」


「桜の木で見えないよ」



本当は困る。



だが、独りで泣かせるという選択肢は選べなかった。



子供の様にワンワンと泣く彼女をとても愛しく見えたのは俺だけの秘密。