「あぁ~あ・・・・・・」
車に乗り込むなり、溜息をついた。
「どうした?」
「今日は妬けちゃったな」
「何に?」
エンジンを掛けて走り出す。
「・・・・・・葵と樹に」
___________!
っぶね・・・・・・・
危うくブレーキを踏む所だった。
ちょっと、危ないじゃん!安全運転してよね。なんて隣で騒いでいる。
原因は留美の爆弾発言にあるんですけど。
「樹が包丁で指切る時、気付けなかったし・・・・・・・・」
外を見つめる留美の横顔が寂しそうに見えたのは、きっと気のせいではない。
「一番に駆けつけてあげられなかった」
駆けつけるって、大袈裟すぎ。
「増井は運動神経や人の観察が得意なだけ。それに、偶然だったかもよ?」
別に嘘ではない。
嘘ではないけど
___________笑顔が引き攣る


