「ごめんね、増井さん。ありがとう」
日がオレンジに染まった頃、先生は泣きやんだ。
「もう大丈夫なの?」
泣き過ぎのせいか、目が赤い。
「うん。それより、HRサボっちゃった。他の子達大丈夫かな?もう帰ったよね」
早口で一気に言い切った。
作り笑いが、無理しているのが伝わってくる。
「心配しなくても伊達先生に頼んどいた」
放送が流れていないってことは上手くやってくれたのだろう。
「そっか・・・・・・・」
眉を少し下げると、フェンスに手をかけた。
「ダメだね、私って。北海道に居たらヒロのこと思い出しちゃう。だから戻って来たの」
目に涙を溜めて居るなんて私には気付かなかった。
「でもよく考えたらこっちの方がヒロとの思い出が沢山あるんだよね」
先生・・・・・・・・・・
「増井さん達にまた会えば頑張れると思ったのに」
フェンスに体重をかけると、簡単に跨いでしまった。
「先生!?何するつもり!??」


