「泣くなって」
親指で涙を拭われた。
泣く・・・・・・・・?
私は最初から泣いてた。
先生のことを想って泣いてた
それだけ。
「キスしようとしてさらに泣くか?普通」
一度引きかけていた涙が滝のように流れ落ちている。
「あぁ~あ、葵とは相性がいいと思ってたんだけどな」
え_______
その時初めて男の顔を見た。
あ・・・・・・・・・
「図書室の・・・・・・」
「そ、白石智久だよ」
あの時の先輩・・・・・・・
「その様子じゃあ辛い恋でもしてる?」
図星を突かれ視線を落とした。
「ありゃ、当たった感じ?」
「何処までも憎い男ね」
カーディガンの裾で涙を拭った。


