「増井、どうした?」 掌に落ちた雫を見て驚いた。 私、泣いてる・・・・・・・? 一度も泣いたことの無い私が? 「ちょ、泣くなって。泣かせるために呼んだんじゃないんだから」 目の前でアタフタしている先生の姿が愛しく思えてしまう。 愛しい・・・・・・・ これが愛しいって気持ち? これが好きって気持ち? 「先生、好きだよ」 「へっ!?」 あんなに意地っ張りだったのに、今ならなんでも素直に言える。 あの日、初めて会った桜の下。 あの瞬間からきっと私は先生に恋に落ちたんだ。