「先生はさー、人を信じられなくなったことってある?」
先生の顔を見る訳ではなく、先生の後ろの蒼い空を見つめた。
「私は、人を信じていたことなんてないよ」
今まで生きてきて信じたことなんて1度もない。
「親に捨てられて信じろって言う方が無理じゃない?そりゃあ______」
昔の記憶がフラッシュバックした。
同じ施設にいた子達とよく遊んだものだ。
「そりゃあ幼い頃は楽しくやってたよ」
それでも人は信じたことはないけど。
「でも気付くじゃん?どうして私には親が居ないんだろう、って。普通なら気付く」
公園に遊びに行っても、何処行っても、親子が目に付く。
そしたら分かっちゃうじゃん。
嫌でも分かっちゃうの。
私には家族は居ない。
親が居ない、って。
「孤児園に居る子なら誰もが通る道。皆先生に聞いてた。『私のお父さんとお母さんは何処?』って。私、親の意味に気付いたら、『あぁ、このこと言ってたんだな・・・・・・』ってあっさり納得しちゃった」
皆しつこく
「私のパパとママは?」
「私のこと迎えに来てくれるよね?」
「僕のパパとママはお星様になったの?」
そうやって聞いてた。


