それからは他愛もない話をしつつ、穏やかな帰り道を過ごした。
家について鍵を開けようと、彼女の手を離す。
すると、後ろから抱き締められた。
「今日はどうしたの? いつもより甘えんぼさんに見えるんだけど」
「んーんー、なんでもない」
「本当に?」
問い詰めると、彼女は黙りこむ。
暫しの沈黙が流れるが、すぐにそれは破られた。
「私のこと、好き?」
確かめるようなその言葉に、首をかしげる。
何が彼女をそうしているのか、分からなかった。
でも、安心させるようと、回された彼女の手を離して彼女の方を向いて抱き締めた。
「もちろん、大好きだよ」
耳元でそっと囁けば、彼女は安心したように微笑む。
「私もだーいすき」


