心の中が温かい気持ちになる中、部屋の入口の方から耳障りな声が響いた。


「おい、お前はまた、コイツと話しているのか」


振り返る先には僕達の兄と姉がいた。

顎で彼女を指差す兄はとても汚いものを見るような瞳で彼女を見る。

その隣にいる姉も嫌悪でいっぱいの顔をしていた。


「こんな出来損ないと話していたら貴方もバカになるわよ」


言い返せるほど強くない僕はただただ耐えるように唇を噛み、睨んだ。


「なによ、私やお兄様に口答えする気なの!?」

「そう、怒るな。どうせ、何も言えないのだから少々は許してやれ」


ヒステリックに叫ぶ姉を兄が窘めるが、その言葉さえも僕達を攻撃する。

そんな高圧的な兄も、ピリピリといつも怒っている姉も僕は大嫌いだった。


「それより、お前に伝言だ。今日の夜の食事会の時間が変更になった。18時じゃなくて19時だからな、間違えるなよ」


それだけ言うと、兄は部屋を出て行き、姉もそれに続くように出て行った。