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母親が立ち去ったのを確認して部屋へと入ると、ぐったりした彼女が壁を背に座っていた。

傷は見ていられないくらいに痛々しい。

日本人離れした真っ白な肌は擦り傷や切り傷だらけ。

打ち身になっているのか青くなっているとこもあったりした。


「ごめんね。助けられなくて本当にごめんね」


ドア越しに見ていたのに何も出来なかった自分が悔しくて仕方がない。


「謝らないで。寧ろ、ありがとう。それくらいに十分、助けてもらってるんだよ?

いつも手当てしてくれるし、あたしと話してくれるし、すごく嬉しいの。他の兄妹やお父様は口もきいてくれないから」


穏やかに、嬉しそうに語る彼女は本当に感謝していると言うような優しい口調で、涙腺が緩む。

いつも見ているだけで助けにいかない自分のことを責めることは愚か、自分に感謝していると言う彼女の心はなんて綺麗なんだろう。