【桜真 side】
ガチャ…
んー やっぱ屋上は気持ちいいな
さっ、一眠りするか
俺はいつもの定位置のタンクの上にのぼった
「ふぅ…空はいいよな
悩みがなくて。あ、空は心がないか…」
ガチャ…
ん?誰かきたか?女二人か…
ひとりのふわふわボブの美人が話してんのに
友達聞いてないぜ?
友達の方はあっち向いてて顔がみえねぇ
ま、興味はねえけどな
ん?美人の女は出て行ったけどそいつの友達はサボリか?
なんか、あいつ泣いてないか?
俺はなぜだかそのとき気になってしかたがなかった
タンクから降りてそいつの顔を見に行った
「…………はっ!」
俺は一瞬息をのんだ
そいつの顔は寝ててもわかるぐらい綺麗な顔をしていた
綺麗で枝毛なんてなさそうな黒髪
くっきり二重の目
小さい鼻、ぷっくりとした口
「やっぱないてんのか…」
涙を流してるその顔はとても綺麗で儚かった
なぜかそのときこいつを守りたいと思った
でも……無理かもしんねえな
「ふっ…」
一人で自嘲気味に笑った
