校門の前で木間くんをまつ。






しばらくして、カッコつけた歩き方をして、





木間くんが来た。






「帰ろ」





それだけボソッと言うと、





百合の前をどすどすと歩く。






待たせた、も言わないんだね。





ごめん、の一言もないんだね。





「なぁ、次の日曜、空いてるか?」





遅いんだよ、みたいなイラついた顔をしながら聞く。






「部活は休みだけど、家族で出かけるから」





そうできるだけ優しく、微笑みかけるように言う。





「デート、しねぇ?」






出かける、って言ってるのに。




百合の言葉が聞こえなかったように言った。





単細胞なんだな、と心の中で小ばかにしながら言う。





「だから、出かけるから無理なの。ごめんね」





単細胞だから、と自分を納得させて子どもをあやすように言った。





「はぁ??」





すごく低くて、怖い声だった。