トクン トクン





「俺、欲張りみたいだ。もっと真子が欲しい。 その髪も、目も、唇も……。
誰にも渡したくない。ずっと、俺のものでいてくれる?」

「……そんな聞き方、ずるい」




心が……「キュン」って鳴く。



背の高いトワに、上目使いでそうおねだりされたら、断れるはずもない。

真っ赤になって、唇を尖らせると、トワは楽しそうに笑った。
それから、柔らかく目を細めて、そっとあたしの手を握りしめた。


……え?


ハッとして視線を落とす。

すると、あたしの左の薬指。
そこに、淡く光り輝く蒼穹の指輪がはめられていた。


な、なに?

呆然とそれを見つめていると、手のひらを合わせるようにそっと指を絡めたトワが、耳元に唇を寄せてまるで囁くように言った。



「満月にお願いして、作ってもらったんだ。俺から、真子に」



…………ま、んげつに?



「受け取って」

「……」


優しく頬を包み込んだトワが、あたしを覗きこむようにして笑う。

こ、こんなの不意打ちだよぉ


「真子」

「っ、う、っ……」



勝手に溢れる涙を、トワは一粒残らず拾い集め、眉を下げて目を細めた。