「ほんとは、今すぐ真子を抱きしめたいんだけど……」

「へ?」

「……我慢する」



……。

もどかしそうにそう言って、小さく息を吐き出したトワ。

ねぇ、これはもしかして。
月の魔力のせいかな?

青白い月光をまとったトワの表情は、息を呑むほどで。
魔法にかかっちゃったみたいだ……。




我慢するって言いながら、熱を帯びた瞳が、ジッとあたしを見下ろしている。

ふわりと風が吹いて、肩までのあたしの髪をさらって、頬をかすめた。

それをトワの手が優しくすくい上げ、そっと頬に触れる。




トクントクンって心臓の音が耳元で聞こえて、視界が潤む。




お互いに惹かれ合うように、その距離が近づいて……。

溢れた気持ちを確かめるように、唇が触れ合う、そう思った。