「爽子……、おはよ」

「おはよぉ、じゃないよ~!真子ちゃんと違うクラスってなんでぇ~~?もうあたしの高校生活終わったぁ」

「あはは。大げさぁ、隣なんだし、体育とか一緒に出来るじゃん?それに……」


本気で泣きついてきた爽子の華奢な腕を、落ち着かせるように、ポンとたたく。


「それに、トワも同じ5組でしょ?」


そうなのだ。あたしはトワと、別々になっちゃったんだ。
淡い期待が、桜のように散って、それでもあたしは爽子に言うように自分に言い聞かせる。


「そうなの?藍原くんじゃダメだよー!もぉ、なんで修也が真子ちゃんと同じなのぉ?ずるいっ、変わって!今すぐあたしと変わって!」

「お前、無茶苦茶。つか藍原に失礼だし」


爽子ごとあたしの背中を押して、校舎へと促す松田君は、可笑しそうにブハって吹き出した。
回り、すごい見てるし……。


それでもイヤイヤなんて首を振る爽子。
ズルズルと引きずるように、なんとか新しい教室の前にたどり着いた。


「うう、真子ちゃん。休み時間にはまた来るからね?お昼は一緒に食べようね?」

「うんうん」


なんて頷いて、なんとか納得した爽子が、自分の教室へ向かっていく。



はあ……。
爽子、すごすぎ。


なんか1日ぶんの体力を使っちゃったみたい。

椅子に座って、机に突っ伏した。


「ほんと、立花好かれてるなぁ」

「アハハ……」


隣に席に腰を落ち着けた松田君が、ドカリと椅子に身を投げ出した。

……あれ?松田君と隣の席なんだ。