「んぁーっ!終わんない!」

 文机に散らばったリストを睨みつけて、息を吐く。

 季節は一月末。

 神社は年末年始の忙しさを乗り越えて、また次の忙しさが迫ってきていた。

 二月三日。立春。そう、節分である。

 うちの神社は毎年、一月中句からお浄めした大豆を豆撒き用に販売している。

 年始の忙しさが片付いて早々に、一般家庭ではまず見ない量の大豆をせっせとお浄めしたから、正直しばらく大豆は見たくない……。

 幸い、好調に売れて残りは僅かになっている。
 丹誠込めて浄めたものが無駄にならなくて一安心ではある。

 ーーあるんだけど……

 節分の仕事は豆を売るだけではない。

 豆を撒くのも仕事なのだ。