「私も構わないぞ。居候よりいいからな」

「オイラも!なんか面白そうだし」

「これで、反対なのは藤だけよ?」

 ジッと藤を見つめて追い詰める。すぐに反抗する割に、輪を乱すのは苦手なのだ。自分以外が全員賛成となるとーー

「べ、別に、見世物にならないなら、勝手にしろよ」

 ーーほら、折れた。

「なら、早速大々的にふれ回らなきゃ!『妖怪退治はじめました!』って」

「冷やし中華みたいだな」

「牡丹は呑気でいいわよね」

「……オイラ、そればっかり言われてる気がする」

「呑気だからな。ーーどうやってふれ回るんだ?」

「お昼ご飯の買い出しに行くのよ?」

「はい?」

「買い物途中で井戸端会議してるおば様たちの噂の広まり方をナメちゃいけないわ。非常時のお偉い方の情報伝達なんかよりずっと早いもの」

「それは……すごいね」

「でしょ?ーーじゃあ、行って来ます!」

 意気揚々とスーパーに出向き、二時間井戸端会議に参加した甲斐あって、翌日には、妖怪退治の依頼が舞い込むのだった。

 ーーそれから、ひかりが『面倒なことを始めてしまった』と悔やむのは直ぐのことだったー