「愛しているよ」
まずは彼から。前菜と言わんばかりに、唇が触れるだけの軽いものを。
お返しを今か今かと待つ彼は、幸せそうに笑う。待ち遠しいとは、言われずとも分かった。
「……、どうして」
二度目の問い。
『どうして、こんなことをしたの?』と、また最後まで言えなかったのは、彼女は答えを知ってしまったから。
――何のことはない。
彼は彼女を愛している。
「仮にも、僕が嫌いと言うなら、舌を噛みきってくれてもいい。寝ている君に嫌なことをした、この舌を。拒絶するなら、殺してくれなきゃ。僕は君が嫌がることを続けるだろうから」


