傍にいなくとも、彼女はこんなにも僕を愛してくれているのに―― 「独りよがりのワガママだ」 なんて情けない男なんだろうと落ち込む彼を慰めるのは、彼女しかいない。 彼と同じ優しさ。 撫でる手の温もりに、手首のアザはそれだけ彼に触れたかった証拠。 「愛していますよ」 待ち遠しい返事だったはずが、いつも聞いている言葉。 なのに毎回、泣きたくなる。彼女に愛してもらえるだなんて、きっと世界一の幸せなのだから。