(一)


何のことはない。

彼は彼女を愛していた。


紛れもなく愛した結果、彼は“究極的な愛の形”へとたどり着いただけなのだった。


“ずっと、一緒にいたい”


そんな、ささやかな願い。


彼も願い、彼女さえも願った。恋人同士ならば、誰もが芽生えて口にする想いを――彼は叶えてみせた。