「ちょっと待って!」 バタバタ階段を下りてくる足音が聞こえる。 その音を聞いて、ほんの一瞬だけアイツの体がビクッと震えた。 それが分かった時にはもう反射的だった。 とっさにアイツの腕を掴むと走って、ついさっき教材を運んだばっかり資料室に入ってドアを閉めた。 「夜那…!」 ーバタバタバタ むかつく声と足音が遠くなっていく。 …もう行ったな。 そう確かめてアイツの方に振り向くと、アイツの顔は真っ青で、目にはまだ涙がが溜まっていた。