1階でおりるのかと思えば、地下駐車場だった。





「え……と、車?」





「そ。送ってやるよ」





「そんな、いいよ。間に合うの?」





「俺は、いーんだよ。何時にどこ?」





夜に会いに来てくれたり、どこかで待ち合わせることはあっても、





日中に送ってくれたことなんてないのに。





「12時に、彩ホール……って、遠いし」





「気にすんな。電車ならかかるけど、高速使ったら早ぇじゃん」





「そうだけど……郁実は」





「うるせーな。いいんだって。たまには、甘えろよ」





チュッとキスをされて、慌てて離れた。















今の郁実は、帽子もかぶってないしサングラスもつけてない。




「誰かに見られたら、大変だよ!」




「バレるなら……もう、いーよ。真央にツラい思いさせてまで、続けたい仕事じゃない」




「ええっ!?」




「お前ありきだよ。ここまでこれたのも、心の栄養が満たされてたから。だけど真央は、そうじゃなかったんだろ」




「そんなことない……」




昨日あんなことを言ってしまった手前、説得力がない。