チュン、チュン……。




空が白み、朝の訪れを告げる鳥のさえずりが聞こえてくる。





少し早く目覚めたあたしは、先に起きて朝食の準備を始めた。











寝かせないとか言いつつ……





疲れていたのか、昨日郁実はすぐに寝てしまった。





きっと、毎日寝不足なはず。





時間があるなら早く帰って寝たいはずなのに、会いに来てくれたこと自体が奇跡だよね……。





郁実の寝顔を見ながら、手をつけていないピザを冷蔵庫に入れて、出たままのコーヒーカップを洗った。





こんななんでもないことにも、幸せを感じる。





ファンの子は経験できないよね。





あたしは、特別なんだ……。





そう思っただけで、心が温かくなる。





別れたいって思っていた自分が、恥ずかしくなる。





それって、“逃げ”だよね。





郁実はあたしを心から、想ってくれてる。





それだけで、いいじゃない……。