「あれ…いつ買ったっけ」




「郁実が起きる前に買ってきたの」




「ひとりで出歩くなって言ってんじゃん」




「そんなのムリでしょ。今までだって別にひとりで行動してたし」




「俺がいるときは、ダメなんだよ」




「寝てたくせに…」




「そーだけど」




ニヤニヤしているところを見ると、ただ言ってみたかっただけなのかも。




独占欲丸出しにしている郁実も、かわいいよね。











「今から高木ちゃんに電話する」




「ここで?」




「お前のいるところで、ちゃんと話したい。その方が、真央も安心だろ?」




そうだけど…。




返事をしないでいると、郁実がケータイを耳にあてる。




そして…。




「あ、俺……昨日は言い過ぎた。反省してます…」




郁実はチラッとあたしを見てから、視線を床に落とした。




気まずいし、見ない方がいいか。




なんとなく、視線を窓の外へ向ける。




けど、耳だけは郁実の声に集中させる。