学校に行く時間になり、また自転車に乗せてもらうことになった。




「今日から草野くんの分も用意すればいいのよね?」




出がけに、お母さんが声をかけてきた。




「うっ…うん……」




「どうしたの、浮かない顔して。恩人だものね、優しそうだし、いいお友達じゃない」




変に気を揉ませてもいけないから、とっさに笑顔を作った。



「そうだね、行ってきまーす」



カバンを持って、家を出る。




家の外では、草野くんが待っていた。




「後ろ、乗って」




「うん」




2ケツして、学校へと向かう。




登校中の会話の流れで、今日の制作は放課後になった。




学校に門を過ぎたところで……、あたしはある考えを決行することにした。











「草野くん、あたし風紀委員の先生に用事があったんだった。ここで降りてもいいかな」




キッと軽快な音をたてて、草野くんが急ブレーキをかけた。




「いいよ」




「カバン、重いよね。持ってようか?あとでここで合流しよ」




そう言って手を伸ばしたら、




「カバンぐらい自分で持てるから大丈夫だよ」




って、拒否られた。




……どうにかして、あのカバンの中身を見たい。




あれだけ探しても、郁実のアルバムがないのはおかしいんだもん。




疑うのはよくないけど……




もし草野くんが盗っていたとしたら?




昨日の不審な行動の理由が、全てハッキリする。




違ったら違うで、




もう疑うことをやめられるし……。