「おはよう」




少し早めに起きて、制服を着たあと1階におりると、身なりを整えた草野くんがリビングのソファに座っていた。




「もう準備できたの!?早いね」




「男なんて、こんなもんだよ」




うーん…郁実とのギャップに驚く。




郁実の場合は、叩き起こしてもダメだったし。




せっかく起きたと思っても、念入りにセットしてたから時間がかかってた。



同じ男の子でも、こんなに違うなんて。



もともとサラサラなのか、草野くんの髪は寝癖ひとつなかった。



「髪、サラサラ…」




「え?あー…そっかな。三沢さんの方がサラサラしてる。前から思ってたんだ…綺麗だよね」




草野くんがあたしを愛おしそうに見つめる。



「あっ……あたし!?全然だよっ」



これ以上視線を浴びたくなくて、逃げるようにキッチンへ駆け込んだ。



草野くんにホメられると、照れるっていうより、拒絶反応のようになってしまう。



なんだろう……昨日から、違和感が拭えない。