学校一のモテ男といきなり同居

「どうして、井上のことを好きになったの?」




「どうして……」




それは……どうして、かな。




口ではウマく説明できない。




最初はイヤなヤツだって思ってたけど、一緒にいて郁実のことを色々知って、




気が付いたときには、好きっていう感情があたしの胸の中にあったの。




「人って、会う回数に比例して……心の距離が縮まるって。だから好きになったんじゃないの?」




ドクッ。




あたしが郁実に対して思っていた不安要素を、指摘されたような気がした。




それは、あたしにも当てはまったっていうこと?













「そんなことないよ。思ってたより、いいヤツで…チャラいのには、ワケがあって。郁実も色々悩んでたの」




「そうなんだ…だけどヒドいよね。恋人を残して海外へ行ったっきり連絡のひとつもくれないで。

デビューのことも黙ってるし、学校一人気があったし、きっとこのまま芸能界で活躍するんだろうね」



ズキズキと胸が痛くなってくる。



「そう……かも。ねえ、パスタでいい?すぐにできるから、待ってて」



逃げるように、キッチンへ急いだ。



草野くんはあたしが郁実を忘れるように、わざとこんなイジワルな言い方をしてるのかな。



ううん、



イジワルで言ってるわけないよね……。



今の発言は、一般論だよ。



誰だって、郁実はどこでも成功者になれるって思うはず。



人の輪に溶け込むのが上手で、



どこでも誰にも愛される。



そんな郁実を、



あたしは好きになったんだもん……。