学校一のモテ男といきなり同居

一瞬でも、そのことを考えたのを後悔した。



怖くて震えが止まらなくなってきた。



あと一歩のところで、家に着くのに……



どうにも動けなくなってしまった。



このままここにいても、恐怖心は増していくばかり。




頭ではわかっているのに、どうすることもできない。




道路にしゃがみこんでいると、自転車が停まる音が聞こえた。




「大丈夫!?」




「嫌ぁーーーーーーーっ!!!!!あたしから手を離して、触らないでーーーーーっ」




声を振りしぼり、叫び続ける。



「おいっ、しっかりしろ!!俺だ!!」



暴れる体を抱きとめられ、ハッとした。



「いっ……郁実、郁実なのっ!?会いたかったのに、どうしてずっと連絡くれなかったの!?あたし、寂しくてどうにかなっちゃいそうだった」



胸板のある体を抱きしめて、顔を埋め泣きじゃくる。



「もう、どこにも行かないで……あたしの側にずっといて!?ねぇっ……お願いだから……」










ホントは、あの日の夜……



こうやって自分の気持ちをぶつけたかった。



寂しいの、行かないで欲しい、



あのとき言えなかった想いを、やっとのことでぶつけることができた。



「もう、大丈夫だ。落ち着いて……ずっと、真央の側にいるから」



泣きやむまで、あたしの背中を優しくさすってくれる。



この温もりに、ずっと包まれていたいよ……。