――ミシッ……。
ベッドの軋む音で、目が覚めた。
……あれ、なんか変。
あたしのベッド、こんな音したっけ……。
瞼を開けると、見慣れない場所にいた。
モノトーンの落ち着いた部屋……だけど、乱雑に積まれた雑誌の山、本棚に並ぶのは乗り物や昆虫の図鑑。
それは……明らかに、男の子の部屋。
あたし……どうしてここにいるの!?
ガバッと起き上がると、部屋の扉が開いた。
そして扉の隙間から、顔を覗かせたのは……草野くんだった。
「三沢さん!!目が覚めたんだね」
駆け寄ってくるけど、状況が理解できない。
「あ……の、あたし……どうして……」
「あのあと、突然倒れたんだ。近くにうちの病院があって、すぐに連れていって診てもらった」
あたしが……倒れた?
しかも、うちの病院って……。
整理しきれないでいると、草野くんがふうとため息をついた。
「とにかく……あとで話すよ。今は安静が一番。まだ寝てて」
「でも…」
「ダメだよ。また倒れても、2度は運べないからね。人間ひとり抱えて移動するのがどれだけ大変だと思う?」
ムッとするでもなく、窘めるように言われて、
現実を理解した。
あたし……草野くんに助けてもらったんだ。
「また、迷惑かけるわけにはいかないよね……落ちつくまで、寝ててもいいの?」
「全然平気。なんなら、泊まって行っても」
「ええっ!?さすがにそれは…」
「だよな。俺もそれは困る」
「えっ?」
「三沢さんと同じ家で夜を過ごすとか、鼻血モン……」
そう言って、おどけたように笑う草野くんを見ていると、
なんだか心が和む。


