「そうだよ。待つ女ほど重いものはないよ!」




……確かに、郁実は女友達も多かったよね。




あたしがこんなに郁実だけを思ったりしたら…重いのかな。




そんなこと、考えもしなかった。




「そっか…」




「それに、一度ぐらい出かけなきゃ草野くんだって引き下がらないよ!?」




「……ちょっと、考えるね」




なんだか、心の準備ができてない。




郁実以外の男の子と、ふたりで出かけるなんて想像できないし。













教室に着くと、ちょうど草野くんがあたしのクラスの男子と廊下で話しているところだった。




友ちゃんはトイレに行ってしまって、ここにはいない。




「三沢さん、おはよう」




爽やかに笑顔を向けてくる草野くんに、あたしも笑みを返した。



友達としては、全然いいんだけど…。




「おはよ」




「今朝も彼の顔、見て来たんだ?嬉しそうな顔してる」




「えっ……もしかして、友ちゃんが話したの!?」




「ハハ、まーね。CMで一喜一憂できるなんて、三沢さんってかわいいな。俺なんて、三沢さんに相手にされなくてヘコみっぱなしだよ」




「そっ、そんな…」




「ところで、ダメ元で聞くけど…今日の放課後空いてる?三沢さんに見せたいものがあって…」




「あたしに?」




「ちょっと、着いてきてくれるだけでいいよ」




「だけど……あたし……」




「10分ほどで終わる。絶対、三沢さんを笑顔にできるから」




そんな言い方をされたら、気になる。




「なにがあるの!?」




「それは、俺に着いてきてのお楽しみだよ。帰るまでに返事くれる?」




そう言い残して、草野くんは自分のクラスに戻って行った。