ホントに怖かったけど、あのときは郁実が助けに来てくれたから……



そして、手を繋いで一晩一緒に寝てくれたから…



平常心を取り戻すことができた。



郁実の笑顔を思い浮かべるだけで、心がスッと軽くなる。



だけど今の状況では、そんな効果もすぐに薄れてしまった。



いつもどこからか現れて、あたしを助けてくれる。



ホントに……



ヒーローみたいなあたしの彼氏。



さすがに今は、助けに来てくれないってわかってるけど……



叫ばずにはいられない。



ストーカーのときも、そうだった。



呼べば、来てくれたよね。



お願いっ……郁実っ!!



助けに来て!?



あたしは、ここにいるよーーーー!!!










「助けてーーーっ!!郁実ーーーーーっ!!」



大声で叫ぶと、白雪ちゃんの平手打ちが飛んできた。



ピシッと空気の乾いた音がする。



だけど痛みよりも、ショックの方が大きかった。



ホントに……白雪ちゃんは、あたしを恨んでるんだね。



これは、どうしようもない事実。



あたしが郁実と関わる以上、絶対に許してもらえないんだよね。



「あんたの口から、二度とその名前が出ないようにしてあげる。ねぇ、ストーカーにされたこと、コイツらに教えてよ。再現してあげるから」



「なっ……」



両手の自由を奪っている男の人が、ニヤリと笑った。