学校一のモテ男といきなり同居

屋上に着くと、他にも数人生徒がいた。



みんなカップルだから、あたしたちに注目することなくイチャついている。



それはそれで、居づらいんだけどね…。



「なーに、ガン見してんの?真央もチュウされたい?」



「なっ……どうしてそうなるのよっ」



入口の近くにいたカップルがちょうどキスしてたから、思わず視線がそっちに向いてただけなのに!



見るんじゃなかった…。



あたしをからかっただけみたいで、郁実はただ笑ってるだけ。



ムキになったのが恥ずかしくて、郁実より先に歩き、屋上の端の柵に背中を預けて立つ。



そしたら郁実が、あたしの前に立ちふさがった。







「今日の俺、見てくれた?」



「それが…間に合わなかったの」



「マジかよー。学園長、真央のこと引きとめすぎ。事件のこと、詳しく聞かれた?思いだして不安になった?」



「ううん…大丈夫だよ」



もっと、不安になることを言われたんだけどね。



郁実に、ホントのことを話したら…怒るだろうな。



絶対に、おじさんのところへ行かないって言うに決まってる。



それに、郁実が学校をすんなりやめるように説得しないと、郁実の身も危ういんだよね。



困ったな……。



視線を下に向けていると、郁実が近づいてくるのがわかった。