体育館に近づくと、大勢の拍手と歓声が聞こえてきた。




……郁実の表彰式に、間に合わなかったみたい。




見たかったな、感謝状を受け取るところ。




女の子たちのキャーキャー騒ぐ声が一段と大きくなる。




……なにしたの?




ステージの上から、生徒がいる方に向かって手をあげて合図したり、満面の笑みをみせたりしたのかな。




ううん。




郁実は、元から何をやっても目立つようにできてるもん。




普通にしてたって、女の子が騒ぐのは当たり前。




きっと、ステージから普通におりただけなのかも。








そのうち、体育館から生徒が続々と出てきた。


…終わったんだ。


結局、あたしもそのまま教室に戻ることにした。


帰る途中で、白雪さんの友達に声をかけられた。


さっき、あたしをトイレに連れ込んだギャルのうちのひとりだ。


「ちょっと、いい?」



「またトイレに連れていく気?」



「今度は外で話そう。それなら、いいよね」



さっきまでの勢いもなく、なんだか浮かない顔をしている。



話だけなら、聞いてもいいか…そう思って、軽く頷いた。