「他のヤツと一緒に暮らしてたら、きっと…俺、色んなことを諦めてた。

最終的には親父に着いて行っただろうし、また一からかよって文句言ってただけかも」



「郁実なら…どこに行っても、大丈夫だよ。愛想いいし、みんなに好かれるタイプだもん」



「もう、どこにも行かねーの。ずっと、ここにいる…真央の側で、夢を叶えたい」



郁実が顔を寄せてくるから、ポッと頬が熱くなるのがわかった。



見つめられて目を逸らすけど、郁実の優しい視線があたしに注がれているのは横目でわかる。



「好きだよ」



そう囁いて、郁実があたしの頬にそっと指で触れる。



郁実の方を向かされるのと同時に、顔が近づいてくる。








チラッと郁実を見ると、軽く目を閉じていた。



近づく距離に、ドキドキ!



あたしもそっと、目を閉じた……。