「郁実っ……あの…え…と。ホントは、あんな書き方したかったんじゃなくて……」



寂しかったからなの。



あたしとの約束なんて、すぐに忘れちゃうんだって思ったら、なんだか悔しくて……。



そう言う前に、郁実は背負っていたギターをソファに乱暴に投げつけた。



そして自分もソファに座り、頭を抱えこむ。



「あー、クソッ!なんなんだよ、アイツら。おかげで電車も乗れやしねー」



えっ……もしかして、マスコミのせい!?









テレビでは、さっきの郁実の暴言が再び流れている。



『……あー、マジうぜぇ!』



「一見、爽やかな好青年ですが、言葉遣いは多少荒いようですね……ハハハ。それではいったんここで、CMです」



画面が変わり、CMに。



すぐに、玄関のチャイムが鳴りだした。



「すみませーん!井上郁実くん!!まだ2、3点聞きたいことがあるので、出てきてくれませんか!」



合わせて、リポーターの声が聞こえてくる。



お母さんがドアホンに出て断っているけど、リポーターは一向に引く気配がない。



「なんだよ。アレじゃ、一体どっちが犯人かわかんねーな」



玄関の方に視線をやり、呆れた声を出すのは郁実。



あたしは、そんな郁実の側にかけよった。