「心配かけて、ごめんね…郁実が助けてくれたから、大丈夫だったよ」


「それならよかった!ねぇ、テレビ見た!?郁実くん、すごいことになってるけど…」


「うん…」


「郁実くんは?さっきのインタビュー、生中継だったし、家にはいないよね」


「今日、オーディションの日なの。郁実、もう着いてる頃じゃないかな…」


「あっ!!また郁実くんが、テレビに映ったよ。真央の家が映ってる!!」


…えっ?






そのとき、玄関の扉が開く音と、



たくさんの人の騒がしい声が聞こえてきた。



「聞かれたことには答えたし、もう話すこともないから。

これ以上の取材は受けないっつってんだろ!?あー、マジうぜぇ」



郁実の声が、玄関とテレビからの二重で聞こえてくる。



そして、思いっきり玄関扉の閉まる音が聞こえてきた。



呆気にとられているあたしの前に、険しい顔をしている郁実が現れた。



…帰って…きた?



え…と。



もしかして、あたしがあんなメールを送ったから?