なにか言葉を発しようとしたそのとき、向こうから同じ学年の女の子が歩いていた。



しかも、いつも白雪さんと一緒にいる子だ。



や……ばっ!!



あたしが思うより早く、井上くんがあたしから離れた。



そして目配せをしたあと、軽く笑ってあたしのもとを去っていった。



その足で、女の子の方へ歩いていく。








井上くんは女の子の前に立つと、なにもなかったかのように話しだした。



「おー、なにしてんだよ。次って美術だっけ?こっちじゃねーじゃん」



「郁実くんがいないっていうから、みんなで手分けして探してたの。こんなところにいたんだ……ふたりで、なにしてたの?」



女の子が、あたしの方をチラッと見る。



あたしは慌てて、女の子から目を逸らした。



「なにって……」



付き合ってるとか、そういう類のこと言わないでよ!?



ドキドキしながら話を聞いていると……。