「あたしをからかうのは、やめてっ!」


「ホンキだから」


「うっ…ウソつき…」


にらむけど、あんまり効果がないみたい。


だって、井上くんは全然ビビってないから。






「俺を…拒むのは、ミキオがいるから…?」


井上くんは、あたしから視線を外した。



「そういうわけじゃないよ。付き合ってなくても、井上くんとはキスしたくない」


「…プハッ!!言うよなあー。やっぱり真央は、厳しいな」


「当然のことを言ったまでよ」


「あっそ。でもさ、俺に風邪ひかせたお詫びとか、そーいう気持ちは、ないわけ?」


ニヤニヤしてるけど、コイツはなにが言いたいの?


「ないわよっ。そのことは…悪かったと思うよ?」


「だろ?週末のオーディションで、また風邪がぶり返したら、どーしよー。一大事だな」