学校一のモテ男といきなり同居

「喉、大丈夫なの?」



「意外とな」



井上くんはギターの弦を爪弾きながら、ネジを回して音を合わせている。



こういうの、初めてだからなんか…緊張する……。



「たっ……単独ライブだね……」



「は?」



わぁっ!



照れ隠しで、思わず口にしたことに対して、井上くんに怪訝な顔をされてしまった。



「だからっ……そのー、ちょっと優越感。井上くんの生歌聞ける人って、学校にあんまりいないんじゃないかなって思って」



「いねーな。みんなには、バンドやってること内緒にしてるしな……あ、ミキオは別だけど」



うん……そう言ってたもんね。



「どうして今歌う気になったの?」



「さぁ?なんとなくー」



なんとなくって……。



井上くんはあたしをチラッと見ては、またギターを見る。



「さて…歌おーかな。なにがいい?」



「え……なにがいいって言われても……」